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出版物紹介: 検閲・メディア·文学 : 江戶から戦後まで

BLOG_Censorship, Media and Literary Culture in Japan「検閱・メディア·文学 : 江戶から戦後まで」  (鈴木登美 … [et al.] 編. 2012. 東京, 新曜社.)

この本は、江戸期から戦後における検閲とメディアの相互関係を、日英のバイリンガル出版というユニークな形で論じた学術書です。出版文化、文学、そして大衆メディアという三つの視点を取り入れた3部構成となっていて、プランゲ文庫の資料は、文学と大衆メディアに焦点を当てた章でとりあげられています。たとえば文学を論じた章では、戦前および戦中に内務省が実施した検閲政策と戦後占領軍が実施した検閲政策との類似点や相違点を分析するため、数々のプランゲ文庫の資料が登場します。また、大衆メディアを論じた章では、プランゲ文庫に保存されているアマチュア詩人によって創作された詩歌という、これまで研究者の注目度が比較的低かったメディアが研究対象となっています。

これらの研究が証明しているように、プランゲ文庫の出版物は、日本における検閲の歴史の継続性と変化を明らかにする上で必須の資料であり、また他に類を見ない種類の出版物を所蔵しているという点で、これからも新しい研究を生み出していく無限の可能性を秘めた宝庫といえるでしょう。

 

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プランゲ文庫の音楽関連資料が修士論文で取り上げられました

当メリーランド大学大学院修士課程、音楽民族学(Ethnomusicology)専攻のNathanial L. Gailey-Schiltzさんが、修士論文のテーマにプランゲ文庫所蔵の音楽関係図書を選択されました。当大学の Digital Repository at the University of Maryland (DRUM)にて、受理された修士論文の全テキストが閲覧できます。下記はGeiley-Schiltzさんからの寄稿です。

“One part of the Gordon W. Prange Collection that might be easy to overlook is its extensive musical material holdings.  There are close to 15,000 individual items categorized by Prange Collection staff as either music literature or various collections of sheet music or music instructional materials.  It is this collection that I, a graduate student in the University of Maryland’s Ethnomusicology program, decided to explore for my Master’s degree research.  The process has been a challenging and fulfilling one, and has given me a chance to not only embark on some truly unique research, but also to reach outside of the School of Music and make ties with colleagues across campus.

The music materials in the Prange Collection encompass a wide range of subjects and styles.  As a player of the koto (琴, a 13-stringed zither) as part of the University of Maryland’s Koto Ensemble, I was first introduced to the collection’s numerous kotoscores.  There are over seventy pieces of koto music by composers such as Miyagi Michio (宮城 道雄), who in the early twentieth century revolutionized koto tradition through innovations in instrument construction and song style.  Apart from notation for the koto, there are pieces for the shakuhachi (尺八, a bamboo flute), scores for nagauta(長唄, the music of kabuki theatre), and folk songs.

MT2682

MT-2682 “歌の花束”

For my own research, however, I decided to focus on the less traditional materials in the collection.  By the time of the Occupation, Western-style music had been present in Japan in one form or another for the better part of a century.  Starting with military marching band music, European and American music styles like classical art music, Tin Pan Alley, and swing all found play in Japan and influenced Japanese music-makers.

A style of music called ryūkōka (流行歌), later known as kayōkyoku (歌謡曲), and a precursor to today’s karaoke favorite, enka (演歌), formed from around the 1920s.  Its production and popularity were intricately bound up with the emergence of a number of related phenomena that occurred during the same time period: consumer culture, an empowered middle class, the recording industry, and the commodification of music.  It would go on to be bound up with the film industry, so that through the 1930s and ’40s movies, title themes songs, and recordings of those songs became big business.

MT2820

流行歌の例: MT-2820 “愛唱する流行歌「歌の花籠」”

There was also a market for sheet music to hit songs, so that consumers could learn their favorite songs and emulate the talents of their favorite film stars.  A collection of publishing houses devoted to music publishing cropped up to cater to that market.  Two main broad categories of publications of ryūkōka were popular by the Occupation era: small (what I call “pocket”) collections of lyrics to hit songs, which may or may not have any music notation; and sheet music for individual songs.  Music notation is predominantly in typical staff notation for voice and piano, reflecting that by that point in history, the piano had become the ubiquitous household musical instrument—just like in Europe and the U.S.—supplanting instruments like the koto.

Example of music note that received a censorship action.  Prange Call Number: MT-2734 "Kayo Gakufu"

検閲処分を受けた楽譜の例: MT-2734 “歌謡楽譜”

The ryūkōka in the Prange Collection reflect Occupation censorship and the negotiation of power between publishers and censors just as newspapers and magazines do.  For example, censors disapproved of published songs that were overly fervent in nationalist sentiment, had a sense of militarism, or espoused Japan’s presence in other nations in Southeast Asia and the South Seas.  The majority of items in the collection did not have actions taken, but still provide a valuable window into the popular discourse of the time.  Popular subjects ranged from melancholy topics (like rain, tears, and departing home) to romance (like love, roses, and “the girl from ___” formula) and the lighthearted (like boogie-woogie, shopping, and the big city).

Again, this is all just in one part of the Prange Collection’s music section.  There is much left to be explored!”

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「赤毛のアン」の翻訳者 村岡花子

現在放映中のNHK朝の連続テレビ小説「花子とアン」の主人公、村岡花子は「赤毛のアン」の翻訳者として知られていますが、その他にも児童書や随筆、そして外国文学作品の翻訳など多岐にわたる分野で活躍しました。

彼女の多彩な活躍ぶりは、プランゲ文庫に所蔵されている数々の作品が物語っています。たとえば、花子はドラマの中でも描かれた「たんぽぽの目」(Prange Call Number: 448-013)を含め多くの児童書を執筆しています。プランゲ文庫のデジタルコレクションPrange Children’s Digital Collectionには17冊の児童書が所蔵されており、それらの全文がカラーで閲覧可能となっています(メリーランド大学および国際子供図書館敷地内)。

随筆も多数執筆しており、たとえば「友情論」(PL-53757)では、ドラマで展開される友人の蓮子(モデルは柳原白蓮)との関係を彷彿とさせる友情について語っています。また「新日本の女性に贈る」(HQ-0364)では、自身の夫、村岡敬三(ドラマでは英治)との恋愛経験に基づいてか「恋愛と結婚について」というタイトルで、職場での男女の出会いこそが自由な交際につながることを強調しています。一方、武者小路実篤ら7名と共著の「愛情の問題」(HQ-0409)という随筆集では、自身の家族関係をもとに「肉親の愛」について論じています。さらに「雨の中の微笑」(PL-53752)では、女性が参政権を通して政治に参加することの重要性を訴え、「緑の島」(PL-53758)という短編集では、聖書からの引用をもちいて敬虔なクリスチャンとしての使命感を伝えています。

翻訳家としては「赤毛のアン」に加え、マーガレット・ウィドマー作「愛情」(PZ-9001g)とモンタニー・ペリー作「花咲く家」(PS-9003g)の和訳に携わり、プランゲ文庫にはそのゲラ本が残っています。これら数々のプランゲ文庫所蔵の花子の作品は、ドラマとは別の一面を含んだ新しい村岡花子像を浮かび上がらせる貴重な資料といえるかもしれません。

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プランゲ所蔵資料の閲覧申込み方法について

今年の8月から、プランゲ文庫所蔵資料の閲覧・複写申込み方法が変更されました。当メリーランド大学のSpecial Collections and University Archives全ての部署でAeonという閲覧・複写申込みシステムを導入しました。これに伴い今後全ての利用者の方々にはユーザー登録をして頂くことになります。このブログポストでは資料閲覧申込み方法についてご説明します。

注意点:

1) 当文庫所蔵の新聞・雑誌のマイクロフィルムをマッケルデン図書館でご利用いただく場合は、閲覧申込みをして頂く必要はございません

2) 閲覧申し込み資料数は15点までに制限されています。ただし長期調査をご計画の利用者の方で、15アイテム以上事前申込みをご希望の方は、ユーザー登録後こちらからご連絡ください。制限数の変更を検討いたします。

閲覧申し込み方法について

当文庫の所蔵資料の検索方法は複数あり、閲覧申し込み方法が多少異なります。下記に例を挙げますが、もしご質問があればこちらまでご連絡ください。

1) メリーランド大学のオンライン・カタログからの申し込み              当大学のオンライン・カタログ(Classic Catalog)をクリックしてください。キーワードサーチ、もしくは詳細検索(Advanced Search)をご利用いただけます。

Aeon_ClassicCatalog_jp

個々の資料レコードの中段に、”Request from Special Collections”というリンクがあります。

Aeon_ClassicCatalog_Request_Jp_jpg

こちらをクリックすると、Aeonのログインページにつながります。Aeonにログインすると、閲覧申込みに必要な資料情報が自動的に申込みフォームに記載されます。申込みフォーム下段にある、訪問日欄は必須項目となっておりますので、必ずご記入ください。資料情報に間違いがなければ、最後にSubmit Requestボタンをクリックしてください。Aeonのユーザーアカウントをお持ちでない方は、こちらから登録方法をご覧頂けます。

Aeon_ClassicCatalog_mapped_jp

2) その他の検索ツールからの申し込み                     オンラインカタログ以外の検索ツールからの閲覧申し込みは、Aeonの申込みフォームに直接入力をお願いしております。該当する検索ツールは以下のとおりです。

- 当ウェブサイトにてダウンロード可能のPDFファイル(例:報道写真リスト被検閲処分・一般図書/パンフレットリスト被検閲処分・未出版教育図書リスト
– 冊子体目録(例: 『メリーランド大学図書館所蔵ゴードン・W・プランゲ文庫新聞目録』)
– 英文周辺資料の各リスト(例: マーリン・メイヨー・オーラル・ヒストリーズのリスト

https://aeon.lib.umd.edu/logon/ をクリックし、Aeonのアカウントにログインして下さい。画面左側メニューバーのNew Request下、”Request” をクリックし、申込フォーム(New Request)ページに入ります。赤い星マークがついている欄が必須項目ですが、なるべく全ての情報を入力してください。最後にSubmit Requestをクリックしてください。

Aeon_ManualInput_jp

閲覧申込み方法についてご質問があれば、お問い合わせフォームからご連絡ください。

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当文庫ご利用におけるユーザー登録について

今年の8月から、プランゲ文庫所蔵資料の閲覧・複写申込み方法が変更されました。当メリーランド大学のSpecial Collections and University Archives全ての部署でAeonという閲覧・複写申込みシステムを導入しました。これに伴い今後全ての利用者の方々にはユーザー登録をして頂くことになります。このブログポストではユーザー登録方法について詳しくご説明します。

ユーザー登録について

1) https://aeon.lib.umd.edu/logon/ をクリックしてください。メリーランド大学の学生・教員・職員以外の方は、Guest Loginをクリックしてください。

Aeon_login_jp

2) First Time Users をクリックしてください。

Aeon_login_firsttimeuser_jp

3) Researcher Registration Page に記されている注意事項をお読みください。Goolgeによる、日本語翻訳もご利用いただけます。ページ上部右側にある、Select LanguageボックスからJapaneseを選択してください。全ての注意事項に同意していただけましたら、ページ最後にあるFirst Time Users Click Hereをクリックしてください。

Aeon_login_registrationForm_jp

4) New User Registration Form を記入し、最後にSubmit Informationをクリックしてください。赤の*マークが有る欄は必須項目です。ここで設定して頂くUsernamePasswordは、今後当文庫をご利用いただく際に必ず必要となります。

Aeon_login_NewUserregistraion_jp

ご訪問前にユーザー登録をお願いしておりますが、ご訪問時に当文庫スタッフが詳しくご案内もいたします。ご質問があれば、こちらからご連絡ください。

次のブログポストでは当文庫所蔵資料の閲覧申込み方法についてご紹介します。

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Academic Preservation Trustのウェブサイトで、プランゲ文庫が紹介されました

当メリーランド大学は、Academic Preservation Trust (APTrust)という、デジタル資料を共同で保存・管理・修復するコンソーシアムの一員です。APTrustのウェブサイトでは、次のように活動を紹介しています。

“The Academic Preservation Trust (APTrust)  is committed to the creation and management of a sustainable environment for digital preservation. APTrust’s aggregated preservation repository will solve one of the greatest challenges facing research libraries and their parent institutions – preventing the permanent loss of scholarship and cultural records being produced today.”

このAPTrustのウェブサイトで、プランゲ文庫が紹介されました。ホームページ下段の”Vast Japanese Collection Saved, University of Maryland”をクリックしてください。

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新室長よりご挨拶

BLOG_Tatsumi photoこのたびゴードンW.プランゲ文庫室長に就任いたしました巽(たつみ)由佳子と申します。私がプランゲ文庫にめぐりあうことになった背景には、自身の歴史研究の経験が大きく影響しています。メリーランド大学教育学部博士課程において、戦前の日本における女子高等教育を研究していた私は、その改革者となった二人の女子教育者に焦点を当て、伝記というかたちで彼女たちの功績を研究することにしました。彼女たちがどんな理想を持ち、何を変えようとしていたのかを探り当てるため、当時の出版物を手当たり次第に読み進めました。生まれ育った家庭環境、通い慣れた学校や職場、そしてそれらを取り巻いていた帝国日本という国家や国際社会情勢など、当時の日常生活の輪郭が少しずつ浮かび上がってくるにつれ、彼女たちが残した声は、まるでダイヤモンドの原石が磨かれていくように、輝きを放ち始め、私の頭と心に届くようになりました。この経験を通して私は、当時の資料を読み解き、時代の景色や空気を感じ取り、そこで生きていた人たちにとってのありふれた毎日や転機となる瞬間を描き出すという創作の魅力にすっかりとらわれてしまいました。

そんな私にとって、占領期日本という時空を映し出す鏡のようなプランゲ文庫に携わることが出来るのは、格別の贈り物であり、同時にその重責に身の引き締まる思いでおります。プランゲ文庫の持つ歴史的価値と無限の可能性を絶えることなく発信し、より多くの方々に利用していただけるよう、スタッフと力を合わせてともにすすんでいきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

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