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子育て今昔:第二回 – 母乳 vs. 粉ミルク

[本記事は、丹治里彩(たんじ りさ)](2018年~学生アルバイト)による寄稿です。育児に関するプランゲ文庫の資料を、ブログ記事全五回に亘って紹介します。はじめに第一回もご覧ください。]

今週8月1日~7日はWorld Breastfeeding Weekだそうです。これにあやかり、今日の記事では母乳育児 vs. 粉ミルクのテーマを取り上げます。

育児にあたり、どのような栄養源をいかにしてあげるのが一番良いのか、親になると一度は悩むことだと思います。時代が変わるにつれ赤ちゃんの食事に対する考えも変わってきましたが、一般的に「母乳が一番の栄養品」とされるのは戦後も同じだったようです。「育の常識」(Prange Call No. 2019-0013)で山本康裕博士は、母乳ほど赤ちゃんに充分な栄養を与えられるものはないと強調し、当時は母親が病気の時に分泌すると言われていた所謂「悪い母乳」でも授乳を続けたほうがいいと述べています。現在でも同じような考え方が広まっていますが、更に母乳の栄養価だけでなく母子の肌の触れ合いも大切な「心の栄養」だと言われることが多くなりました。

また「育の常識」では牛乳や山羊乳、重湯などの母乳の代用品の名前が並べられていますが、当時はどれも母乳より栄養価が劣っていたり、入手困難な高級品とされていました。当時はこれら代用乳がない事態も想定せざるを得なかったこともあったのでしょう、主婦之友社編集局著の「赤ちゃんの食事とお八つ」(Prange Call No. 2019-0012)では詳しく代用乳の作り方や与え方を説明しています。ここには、卵黄乳、煮干粉乳、落花生乳など、今ではあまり馴染みのないものの名前も見られます。更に、当時は粉ミルクが牛乳より良質になることはないとされていましたが、現在は粉ミルクの品質が改良されたうえ、配合されている栄養分の種類が豊富になったので、一概に粉ミルクより牛乳のほうがいいとは言えなくなりました。

山本氏はまた「育児の常識」内で、乳児の肥満傾向にも注意を呼び掛けています。乳児の成長を喜ぶ親が多い中、乳児の肥満は大人と同じような病気のリスクがあると考えていたようです。確かに今でも肥満期間の長い乳児は成人病にかかるリスクが高いと言われていますが、活発に運動し始める1歳頃になると、自然と肥満も解消し始めるので心配をする必要はないそうです(粟谷しのぶ, 2014)。また山本氏は母乳はいくら与えても太りにくく、牛乳で育てた赤ちゃんは肥満になりやすいと主張しています。

医学博士の田中利雄氏は著書「赤ん坊の育て方」(Prange Call No. 2019-0038)で授乳や離乳のタイミングを詳しく説明しています。田中氏は授乳時間を規則正しく行うことで育てやすい子供になると述べ、毎日十時以降を除いて六回、三時間おきに十分間の授乳をするように勧告していました。また、赤ちゃんが寝ていても授乳の時間には必ず起こすことで体内のリズムを整えていくことが大切だと述べています。反対に、現在では万人に通用する授乳方法というものはなく、産婦人科が母親の育児方針や赤ちゃん個人に合わせた授乳方法を推奨するのが基本とされているようです。

離乳のタイミングにおいては、田中氏は生後八か月から離乳を始めないと赤ちゃんが痩せ細って弱い子になってしまうと言っていますが、これも現代の母親たちからすると少し早いと感じる方が多いのではないでしょうか。現在WHO(世界保健機関)は2歳頃まで授乳を続けるように勧めており、自然卒乳の時期は大体生後九か月から三歳半くらいの間に始まるそうです。

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