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子育て今昔:第三回 – 母親の体調管理

[本記事は、丹治里彩(たんじ りさ)](2018年~学生アルバイト)による寄稿です。育児に関するプランゲ文庫の資料を、ブログ記事全五回に亘って紹介します。はじめに第一回第二回もご覧ください。]

まず、山本康裕医学博士の「の常識」(Prange Call No. 2019-0013) や中鉢不二郎医学博士の「病氣をさせぬ新育法」(Prange Call No. 2019-0022) をはじめ、様々な戦後の育児法の本には母親や女性を読者のターゲットとした本があまりに多い事に驚きました。現在なら男性向けの育児書も見つけやすくなっていますが、戦後は父親は育児に全く関与しなかったのかと思うほど男性が読むことを想定して書かれた本や文章がまるでありません。このことから、当時は男女の家の中での役割が今よりはっきり分かれていたことが窺えます。

その中でも一番記述が多い題目が授乳に関するものでした。山本博士は授乳中に限らず、妊娠中・子育てをする母親たちの神経質さに懸念を抱き、夜は人に赤ちゃんを任せてでも睡眠をとるように促したり知識階級の女性は神経質で母乳が出にくくなると主張していました。ストレスや栄養不足からくるホルモンへの影響などはあっても、学歴と神経質さや母乳の出にくさを関連付けた考えは今では一般的ではありません。

母乳の分泌を促すために山本博士は乳腺の発育のためにビタミンLを摂取したりマッサージをするのがいいと述べています。今ではビタミンLのみのサプリメントなどはあまり見かけないように思いますが、催乳剤によくビタミンLやプロラクチン(催乳ホルモン)が含まれることがあります(Kyoto Enclyclopedia of Genes and Genomes, 2019)。マッサージに関しても、山本博士は精神的な作用だけかも知れないと半信半疑でいた様ですが、今でもマッサージを自分で行ったり助産師に行ってもらったりする母親は多く、乳腺炎予防の意味でも大切だという認識が定着しているようです。中鉢博士も山本博士のように母乳育児を勧めており、特に産後一、二週間はホルモン注射を打つことで母乳の出を更に良くすることができると述べています。他にも妊娠五、六か月頃からアルコールなどで乳頭を拭いて皮膚を丈夫にしておいたほうがいいと記しています。

また、いずれの著作物も母親が母乳育児をすることを前提に書かれてあることにも興味を持ちました。中鉢博士が無理をしてでも母乳を飲ませたほうがいいと言うように、やはり母乳が赤ちゃんにとって一番良いという認識が当時は最も流布されていたようです。

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