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夏目漱石、没後100年

今日2016年12月9日は夏目漱石(1867-1916)の没後100年にあたります。これを記念し、今日は当文庫が所蔵する夏目漱石関連資料を紹介します。 プランゲ文庫には夏目漱石関連図書が74冊所蔵されています。(数は2016年12月現在)このうち3冊は児童書として既にデジタル化されており、プランゲ文庫デジタル児童書コレクションにて公開しています。メリーランド大学カレッジパーク校キャンパス内では全デジタル画像がご覧頂けます。ただし著作権保護の為、キャンパス以外では書誌情報と表紙のサムネイルのみの公開となっております。なお国会図書館デジタルコレクションからも全デジタル画像をご覧頂けます。(国会図書館館内からのアクセス限定) 一般図書に分類されている71冊はデジタル化はされていませんが、当図書館のオンラインカタログから検索が可能です。 このうち下記の3冊には検閲を受けた跡が見られます。 「草枕」夏目漱石著 (東京 : 壯文社, 1946) (Prange Call No. PL-41964) 「草枕」夏目漱石著 (東京 : 日本社, 1947) (Prange Call No. PL-41965) 「夏目漱石」 小宮豊隆著 (東京 : 岩波書店, 1947) (Prange Call No. PL-41994)

「素人演劇」大山功著:文学分野より

昨年デジタル化が終了した文学分野(詩・映画・演劇関連図書に限る. 請求番号がPN-から始まるもの)から、「素人演劇」大山功著(東京:摩耶書房, 1947)(Prange Call No. PN-0287)を紹介します。 この本は第一部「素人演劇の理論」と第二部「素人演劇の實際」から成り立ち、素人演劇の流行、批判、歴史、稽古方法、そして舞台装置や演出に至るまで細かく解説した一冊です。 第一部第九章「素人演劇と新劇」の中で、連合国司令部の上演脚本検閲趣旨書を引用した箇所があり、民間検閲局(CCD)によって削除(Delete)処分を受けたことが、残されたゲラ断片から見てとれます。(pp. 64-65.) また、第二部第二章「稽古の順序」でも検閲に言及した箇所があり、こちらも削除処分を受けています。(p. 122.) 出版された本には、この2箇所が取り除かれていることが確認できます。(下記の画像をクリックで拡大します)資料のデジタル画像は、現時点では当文庫館内限定で閲覧頂けます。  

幼児向け紙芝居・人形劇関連図書:文学分野より

昨年デジタル化が終了した文学分野(詩・映画・演劇関連図書に限る. 請求番号がPN-で始まるもの)には、幼児向け紙芝居・人形劇関連の図書が6冊含まれます。これらは、紙芝居や人形劇を通じてどのように幼児教育を進めるのか、またその為にはどのようなストーリー構成が好ましいのか、といった内容を幼児教育者が学べる図書のようです。 興味深い資料としては、佐木秋夫著作の「紙芝居のやり方作り方 : 附やさしくて面白い指人形劇の仕方」(Prange Call No. PN-0140)があります。これは人民新聞社出版部が発行しており、目次には「装幀 イワサキ・チヒロ」との記載が見られます。またp. 7では検閲に言及していますが(下記に本文から引用)検閲処分の跡は見受けられません。 引用「….作品はすべて聯合軍司令部の檢閲がいる。賣つているものは、すべて檢閲を經ている。自作のものでも、おおやけに使うにはやはり檢閲がいる。東京、大阪、福岡の民間檢閲部に、畫と脚本(三通)と英文梗概を提出する。協會は手續き上の便宜をはかる。古い作品は未檢閲のが多いから、注意を要する。日本政府の檢閲は一切ない。」(p. 7) 下記は一例です。文学分野(詩・映画・演劇関連に限る. 請求番号がPN-で始まるもの)図書はカタログ化されておりませんが、当文庫館内限定で簡易リスト及びデジタル画像をご覧頂けます。

谷崎潤一郎、生誕130年

今日2016年7月24日は、谷崎潤一郎の生誕130年にあたります。これを記念して、当文庫が所蔵する谷崎関連資料を紹介します。 雑誌 中央公論第8号八月号(8/1/1946)に掲載が予定されていた「A夫人の手紙」です。Suppress(出版差し止め)処分を受けました。 図書 谷崎潤一郎関連図書は、28冊所蔵しています。左の画像はクリックで拡大します。下記は一例です。 “友田と松永の話 ” (京都市 : 臼井書房, 昭和24 [1949]) Prange Call No. PL-56436 “小さな王国” (東京 : 文芸春秋新社, 1948.) Prange Call No. PL-56421 “痴人の愛” (東京 : 生活社, 昭和23 [1948]) Prange Call No. PL-56419 写真 報道写真の中に谷崎潤一郎の写真がありました。 共同通信 1948/10/29 第K5177号 谷崎潤一郎 Prange Call No. K1150 (写真向かって左) サン 1948/12/1 NO.325 谷崎潤一郎 作家 Prange Call No. S1283

宝塚歌劇関連図書:文学分野・雑誌より

昨年デジタル化が終了した文学分野(詩・映画・演劇関連図書に限る: 計518点)には、宝塚歌劇関連の図書・パンフレットが8点含まれます。また、当文庫は「歌劇」や「宝塚グラフ」に代表される宝塚歌劇関連雑誌も各種所蔵しています。文学分野の図書・パンフレットの書誌情報に関しては、当文庫館内にて簡易リストを閲覧いただけます。また資料のデジタル画像も当文庫館内限定で公開しております。 雑誌は全てマイクロ化が終了しており、国立国会図書館をはじめ、様々な大学・その他の機関で利用に供されています。詳しくはこちらのページをご覧ください。

Shakespeare@UMD

メリーランド大学では今年、ウィリアム・シェークスピアの没後400年を記念したイベントを多数開催しています。Shakespeare@UMDと題された一連のイベントでは、映画上映会やワークショップ、展示会などが企画されています。 下記はプランゲ文庫が所蔵する、シェークスピア関連の資料です。副読本や映画の翻訳本を始めとし、シェークスピア作品を題材にした詩物語や子ども向けの読み物などもあります。  

文学分野(詩・映画・演劇などに限る)のデジタル化終了

プランゲ文庫は、文学分野(詩・映画・演劇などに限る: 請求番号がPNで始まる図書)518点のデジタル化を終了しました。この分野には歌舞伎・能・謡・宝塚歌劇・漫画・落語に関する資料も含まれており、非常にバラエティに富んでいます。下記の例をご覧下さい。 大半の資料はカタログ化されておりませんが、当文庫館内にて簡易リストを閲覧いただけます。また、資料のデジタル画像も当文庫館内限定で公開しております。

歌舞伎関連図書のデジタル化

先月、松竹大谷図書館(東京)が占領期に検閲された歌舞伎台本約330冊のデジタル化事業を進めているという読売新聞(Yomiuri Online)の記事を紹介しました。プランゲ文庫の歌舞伎台本所蔵は現時点では確認されていませんが、約30冊の歌舞伎関連図書のデジタル化が先日終了しました。下記の例をご覧ください。 これらの図書はカタログ化されておりませんが、当文庫館内限定で簡易リスト及びデジタル画像をご覧頂けます。

「歌集露原 : 松村英一著」の検閲断片

プランゲ文庫では数多くの検閲断片がありますが、中でも日本文学では約300点の検閲断片が確認されています。短歌では15点ほどあり、その中で特筆すべき作品が「歌集露原  : 松村英一著, 新紀元社, 1947」(Prange Call No. PL-53404)です。 それは、777首からなる歌集から34首の歌が削除(Delete)処分を受けているからです。松村英一の作風は「歌の基盤を生活現実の実感においたもので人生派と呼ばれた。」といわれるもので、昭和15年から20年にかけての歌の数々は、一歌人による当時の心情を切実に描写した貴重な作品といえます。そして世に発表されることなく削除された歌を知ることは、より深く戦争という現実を認識できるのではないでしょうか。 なお、添へ書によると、自身の罹災した中で「偶然に救い出し得たのは、僅かに「標石」一冊の校本だけであった」とあり、それを基礎にして、「歌集露原」は作られました。(赤字で七百七十七首から七百四十二首に書き改められています。) 参考文献:新研究資料現代日本文学第5巻 浅井清他編 明治書院 P.130

出版物紹介: 検閲・メディア·文学 : 江戶から戦後まで

「検閱・メディア·文学 : 江戶から戦後まで」  (鈴木登美 … [et al.] 編. 2012. 東京, 新曜社.) この本は、江戸期から戦後における検閲とメディアの相互関係を、日英のバイリンガル出版というユニークな形で論じた学術書です。出版文化、文学、そして大衆メディアという三つの視点を取り入れた3部構成となっていて、プランゲ文庫の資料は、文学と大衆メディアに焦点を当てた章でとりあげられています。たとえば文学を論じた章では、戦前および戦中に内務省が実施した検閲政策と戦後占領軍が実施した検閲政策との類似点や相違点を分析するため、数々のプランゲ文庫の資料が登場します。また、大衆メディアを論じた章では、プランゲ文庫に保存されているアマチュア詩人によって創作された詩歌という、これまで研究者の注目度が比較的低かったメディアが研究対象となっています。 これらの研究が証明しているように、プランゲ文庫の出版物は、日本における検閲の歴史の継続性と変化を明らかにする上で必須の資料であり、また他に類を見ない種類の出版物を所蔵しているという点で、これからも新しい研究を生み出していく無限の可能性を秘めた宝庫といえるでしょう。