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占領期における、米兵と日本女性の交際:第一回

[本記事は、渡辺二幸[わたなべ にこう](2016-2017年学生アルバイト)による寄稿です] 日本占領期、米兵と日本人の交際は連合国軍最高司令官総司令部(Supreme Commander of the Allied Powers・SCAP)によって禁止されていました。またSCAPの方針により、米兵が日本人売春婦と関係を持つ事は法律上禁止されていました。これらの事情から、米兵と日本人女性間の結婚は困難を極めました。この状態は1949年にSCAPが正式に交際を許可するまで4年間続きました。外国籍の米兵配偶者がアメリカの国籍が取得できるようになったのは、1952年にマッカラン=ウォルター法が定められてからとなります。1947年~1965年の間に、約5万人の日本人の女性が「戦争花嫁」としてアメリカに移住したと言われています。(ダグラス・2013年) 民間検閲局(Civil Censorship Detachment・CCD)は米兵と日本人女性の交際を題材として取り上げた出版物の検閲を厳しく行ないました。(ダワー・2000年・p. 411.)米兵と日本人女性の交際を描いたが為に検閲処分を受けた出版物を、ブログ記事全三回に亘って紹介します。 新漫画「スプリングガール」 雑誌「新漫画」(昭和21年6月号)のゲラには、日本人の若い女性が二人公園で会話している「スプリングガール」という漫画がありました。背景には米兵と日本人女性のカップルが二組見えます。しかしCCDが残した文書によると「米兵が日本人女性を抱きしめている漫画」が「米兵の行動についての誤解を生み出す可能性がある」及び「米兵への偏見が生じるかもしれない」という理由で、CCDは背景のカップル二組の削除を命令したようです。結局出版された漫画には、前の二人の女性しか描かれていません。 Advertisements

出版物紹介:「漫画少年物語:編集者加藤謙一伝」

占領期が始まると共に、子ども向け雑誌の創刊数は劇的に増加しました。しかし多くの出版社はすぐ、紙不足や人気作家の確保など、様々な現実的問題に直面します。他の雑誌との売り上げ数競争も、各編集者が最も頭を悩ます事柄だったことでしょう。 今日ご紹介する、「「漫画少年」物語:編集者・加藤謙一伝」(都市出版, 2002)は、そんな戦後の出版業界の様子を垣間見ることができる、貴重な本と言えます。タイトル通り、この本は戦前は講談社の「少年倶楽部」編集長をつとめ、戦後に「漫画少年」を創刊した加藤謙一氏の伝記です。著者の加藤丈夫氏は謙一氏の息子です。 プランゲ文庫は、「少年クラブ」(Prange Call No. S2192)も「漫画少年」(Call No. M91)も所蔵しています。また、プランゲ文庫の資料は民間検閲局(CCD)が検閲目的で集め保管していたものであることから、雑誌の付録も非常に綺麗な状態で保管されていることが特記できます。本書では、いかに付録が「少年クラブ」と「漫画少年」の両誌が広く子どもたちに受け入れられる重要な要素となったかを書いています。雑誌を購入早々、喜々として付録を作った思い出は、今も当時を生きた人々の心に深く残っているのではないでしょうか。本書でも、遠藤周作氏、坂田寛夫氏、東海林さだお氏、尾崎秀樹氏の4名が付録の思い出を語った、「文藝春秋デラックス」(1975年の漫画特集号)における座談会の様子が引用されています。(pp.140-142.) 下の画像は、「少年クラブ」第36巻第11号11月号(11/1/1949)の付録をカラーコピーし、プランゲスタッフが実際に作ってみたものです。付録デザインは中村星果氏によるものです。中村星果氏考案の付録については本書のpp. 138-140に詳しく書かれています。

MANHUA + MANGA – University of Maryland Art Galleryにおける展示のお知らせ

2016年3月30日より、当メリーランド大学アート・ギャラリー(University of Maryland Art Gallery)にて、「Manhua + Manga」と題した展示が開催されています。この展示は日中戦争(1937-1945)前後の中国と日本における漫画の発展を取り上げ、両国で出版された漫画を展示しています。 この展示に、プランゲ文庫の所蔵漫画が4点貸し出されています。 サザエさん 第四巻 by 長谷川町子 (Prange Call No. 476-073) サザエさん by 長谷川町子 (Prange Call No. 461-002) 怪盗黄金バット by 手塚治虫 (Prang Call No. 466-059) バット博士とジム by 手塚治虫 (Prange Call No. 469-141) 展示は4月30日までで、会場は一般の方々に無料公開されています。

National Comic Book Day!

9月25日は「National Comic Book Day」ということで、今日はプランゲ文庫が所蔵する漫画本の紹介です。当文庫が所蔵する約2,000冊の漫画本は全てデジタル化されており、プランゲ文庫デジタル児童書コレクションにて閲覧できます。(全文閲覧は当メリーランド大学カレッジ・パーク・キャンパス及び国会図書館館内限定)   所蔵資料の例: メトロポリス (大都会) – 手塚治虫 (Prange Call Number: 466-064) のらくろ三人旅 – 田河水泡 (Prange Call Number: 475-071) サザエさん – 長谷川町子 (Prange Call Number: 461-002) また今年7月には、小松左京氏の漫画がプランゲ文庫で発見され、各メディアで大きく報道されました。詳しくはこちらのブログポストをご覧ください。  

小松左京氏の「幻の」デビュー作発見

すでに数十紙の新聞でも報道されましたように、日本のSF巨匠作家である小松左京氏(1931~2011)が学生時代に創作したと思われる漫画本「怪人スケレトン博士」(Prange Call No. 479-088)が、先月プランゲ文庫にて見つかりました。この発見には、国会図書館とプランゲ文庫の共同デジタル化プロジェクトが大きく関与しています。プランゲ文庫に所蔵されているこの本がデジタル化され、ほんの数ヶ月前に国会図書館のデジタルコレクションに搭載されたところ、小松左京ファンがみごと「最新刊」を発掘するに至ったというわけです。 この作品で小松氏は、その後氏の大ベストセラーとなった「日本沈没」の伏線となるような近代科学に警鐘を鳴らすストーリーを展開しています。時空を超えたこの発見は「まるで小松左京のSF 小説のようだ」と小松左京ライブラリでも伝えられています。(小松左京ライブラリ2014年6月15日付記事参照)(検証結果修正版は2014年7月1日付記事を参照) 長年にわたり国会図書館と二人三脚で歩んできたプランゲ文庫にとって、この発見のお手伝いができたことは最高のご褒美だと思っています。現時点で既に約14,000冊のデジタル化を達成しています。これからもデジタル化を通して思いがけないご褒美に出会えることを楽しみに、国会図書館とともにプロジェクトをどんどん進めていきたいと思います。 記事リンク: 共同通信47News 【小松左京、幻のデビュー作か】米で漫画本所蔵  「日本沈没」に通じる 実名作品、ファン発見 共同通信47News動画ニュース 幻のデビュー作か  –  Sci-fi author Komatsu’s debut work found in U.S. library The Japan Times オンラインニュース Debut work by sci-fi author Komatsu found  

出版物紹介: Shigeru Sugiura: Last of the Mohicans

Ryan Holmberg氏が翻訳及び序説を手がけられた「Sugiura Shigeru: Last of the Mohicans」が出版されました。Ryan Holmberg氏は、20世紀ジャパン・リサーチ・アワードの2011-2012年度の受賞者でもあります。この本は、杉浦茂氏の漫画「モヒカン族の最後」(“The Last of the Mohicans” James Fenimore Cooper作. からヒントを得た)の英語訳本です。 20世紀ジャパン・リサーチ・アワードの報告レポートで、Holmberg氏は次のように述べています。 “‘Sugiura Shigeru and His Mohicans’ describes how this artist’s encounter with “ten-cent” comics after the war overhauled his practice in manifold ways, focusing on the many Westerns he produced during the Occupation period. A couple of images from Sugiura’s first […]