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雑誌特集:石川県で出版された雑誌

2015年3月より、約5,300点(約700タイトル)のプランゲ文庫所蔵雑誌が国立国会図書館のデジタルコレクションにて閲覧可能(館内閲覧限定)となりました。これらの雑誌を今後当ブログにてシリーズとして紹介していきます。シリーズ記事の一覧はこちらからご覧頂けます。

シリーズ第十二回目の今回は、石川県で発行された雑誌を数点紹介します。

  • 超然. [53号(1948年10月)].  (Call No. C-182)

金沢の第四高等学校時習寮の学生が発行した「超然」の第53号(1948年10月号)をプランゲ文庫は所蔵しています。論文、詩、短歌、俳句などが並び、50ページ未満のごく一般的な学生雑誌と言えます。しかし民間検閲局(CCD)の検閲官は内容に厳しく目を光らせていたことが、残された文書から見て取れます。一枚の検閲文書には「この雑誌を出版した学生は共産党に傾倒しかけているのではないか」と懸念を示す一文が残されています。

  • 断崖. [1号(1948年7月)]. (Call No. D-88)

同じく学生雑誌の「断崖」は、金沢三高文芸部が1948年に発行したものです。プランゲ文庫には創刊号のみ残っており、続刊の有無は不明です。近隣の古本屋や眼鏡店の広告も掲載されており、出版にあたる経済的援助を受けたのでしょうか、表紙は2色刷りで本文の印刷もしっかりとしている印象です。内容は評論、創作エッセイ、詩、短歌などです。民間検閲局による文書も残っていますが、特に検閲処分を受けた形跡はありません。

  • 怒涛. [7号(1949年3月)-8号(1949年7月)]. (Call No. D-316)

「怒涛」は石川県庁職員組合が発行した雑誌です。職員が自身の仕事と関係のある内容の投稿をしているものもあれば、ペンネームで面白いエッセイなどを掲載しているものもあり、バラエティに富んだ雑誌です。例えば第七号では公衆保健課の職員数名が「婦人と食生活」や「「メランコリー」はカルシウム不足」といった内容の論文を書いている一方で、第八号では「新祭日「老年の日」」と題された風刺漫画が掲載されています。

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iSchool (メリーランド大学図書館学学科)インターン生より (2017)

[本記事はAshley Victoria Haddix(2017年秋学期 iSchool Field Studies インターン)による寄稿です]

Ashley Victoria Haddix

ゴードン W.プランゲ文庫のインターンシップでは、ミード・スミス・カラス・ぺーパー(Mead Smith Karras Papers)資料を整理する仕事を任されました。私はこれまで一つの資料群を整理したことがありませんでしたが、このインターンシップは整理方法だけではなく、ミード・スミス・カラス氏についても詳しく研究できる機会だと思い、とても興味深く思ったことを覚えています。カラス氏と同じように私も20代の時に日本に3年間住んでおりましたので、彼女に対して更に親近感を感じました。

当初の予測よりもこの資料群を整理するのには時間がかかりましたが、それは劣化した書類などが多く含まれており丁寧に扱う必要があったからです。また資料を最終的に意味のある並びに直すことにも時間をかけ、自分のメモを何度も見直す作業がありました。月報、正式な覚書や通信記録などは時系列に並べました。一方で計8冊の写真アルバムに含まれる約2,500枚の写真や紙芝居・ポスターといった印刷物は大きさを基準に並べることにしました。最後に、この資料群を包括的に説明する文章を書くために、他の資料群の説明文をいくつも読みました。

このインターンシップでは、資料の整理方法についてたくさん学ぶ事ができました。私が特に気に入った資料は、紙芝居及び、大阪でカラス氏が講演を行った際に参加者が提出した質問書です。紙芝居は未成年の労働者に彼らの権利について教える目的で作成されたようです。また質問書からは、戦後の働く女性たちが抱えていた問題や赤裸々な考えなどが読みとれます。

このインターンシップのカラス・ペーパーの整理は本当に素晴らしい経験となりました。また日本の戦後歴史についても勉強する良い機会でした。

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「New Japan」:ジョン・R・ハロルド文書より

「ジョン・R・ハロルド・ペーパー」(John R. Harold Papers)は、連合国軍最高司令官総司令部(SCAP)労働課で労使関係責任者代理の職に就いたジョン・R・ハロルド氏の関係資料です。この資料群に含まれる「New Japan」という資料を今日は紹介します。「New Japan」は占領期3年目に入る日本を様々な方面から観察・分析しています。例えば労働省の設立や労働基準法、および働く女性の状況などが詳しく説明されています。

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第19回図書館総合展(2017年11月7~9日)

2017年11月7日~9日に横浜パシフィコにて開催された第19回図書館総合展にて、プランゲ文庫職員がポスター展示を行いました。ポスタータイトルは「メリーランド大学図書館ゴードン W. プランゲ文庫 – 日本国内から使える資料の紹介」とし、主に日本国内からでもオンライン上でアクセスできる目録やデジタル化資料を紹介しました。ポスターをご覧頂いた皆様、本当にありがとうございました。また当ポスターは運営委員会特別賞を頂きました。

総合展のコンセプト「図書館について大いに見て聴いて、大いに話して、大いに持ち帰る場」の通り、学術図書館関係者の方々だけではなく公共図書館や利用者の方々とお話をすることができました。また図書館に関連する課題や挑戦なども、米国と日本では視点が違ったりすることも学ぶことが出来、非常に有意義な体験となりました。お話させて頂いた皆さま、ありがとうございました。

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沖縄「県」呼称 – 検閲処分を受けた例

当ブログでは雑誌特集シリーズとして各都道府県で発行された雑誌を紹介していますが、沖縄県にて発行された雑誌は原則としてプランゲ文庫では所蔵していません。これは戦後沖縄県は米国によって統治されていたため、民間検閲局(CCD)の管轄下になかったためではないかと考えられます。1972年に本土復帰されるまで、沖縄県は「沖縄」もしくは「琉球列島」などと呼ばれたようですが「沖縄」ではありませんでした。

プランゲ文庫の資料の中には「沖縄」と記したが為に、CCDから検閲処分を受けたと思われる資料がいくつかありました。また沖縄を日本の一部として記載した為に処分を受けたものもありました。下記はその一部です。「養蚕経営基準摘要」以外は全て教育図書の分野に属しており、現在デジタル化を進めています。

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保存作業:ページの切り離し

資料のデジタル化のためのメタデータ作成をしている際に、ページが切り離されないまま製本されてしまった本に出会うことがあります。現在教育図書のデジタル化を進めていますが、その中でも特にドイツ語教育に関する本の分野に多く見受けました。これらはデジタル化の前に全て切り離す必要があります。下記のスライドショーで、プランゲ文庫の保存作業担当スタッフが、ページを切り離す作業を詳しく紹介します。

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雑誌特集:島根県で出版された雑誌

2015年3月より、約5,300点(約700タイトル)のプランゲ文庫所蔵雑誌が国立国会図書館のデジタルコレクションにて閲覧可能(館内閲覧限定)となりました。これらの雑誌を今後当ブログにてシリーズとして紹介していきます。シリーズ記事の一覧はこちらからご覧頂けます。

シリーズ第十一回目の今回は、島根県で発行された雑誌を数点紹介します。

「どうどがわ」は島根県立大東高等学校校友会郷土調査班が発行した冊子です。内容は教員や学生の研究発表で、例として「八雲神話と出雲」や「三刀屋城附近の傳説」といった論文が掲載されています。

島師付属小学校同窓会が発行した「千鳥」は、卒業生による随筆や詩の寄稿、シリーズ物、住所録などが含まれます。最終ページには戦時中に破壊された校舎の復興レポート「母校復興状態」というコーナーもあります。プランゲ文庫が所蔵する第3号は全75ページで、同窓会誌にしては分厚い印象を受けますが、発行人が民間検閲局に提出した文書によると発行部数は80部とのことです。

  •  潮音. [1号(1947年1月)] (Call No. C-155)

港町青年会が発行した「潮音」も、「千鳥」と同様に発行部数わずか60部の小規模な機関誌です。印刷の状態も悪く非常に読みづらいですが、表紙のタイトル下には折り紙のような飾り紙を使って色味を添えてあり、拘りが感じられます。理想に燃えている創刊の言葉を抜粋します。

「終戦後混沌たる嵐に吹きまくられ人々はいたづらに右往左往するあはただしい時を送ってきたが今こそ吾々はこの混迷より醒め満ち溢れる熱き意気と力をもってあくまで正しき理念を持し新日本建設に努力せねばなりません。」