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Censored Newspaper Articlesのデジタル化: 補修作業

Censored Newspaper Articlesのデジタル化についてシリーズでお伝えします。第二回目の今回は、スキャン前の補修作業についてです。第一回目の「メタデータ作成」もあわせてご覧ください。

戦後は用紙が極端に不足し、出版社は品質の悪い酸性紙・リサイクル紙の使用を余儀なくされました。特に新聞やそのゲラは後世に残すものという位置づけではなかった為、大半が質の悪い紙に印刷され、劣化が非常に進んでいます。このため、当文庫が昨年デジタル化を終了したCensored Newspaper Articles(CNA)のデジタル化においては、事前補修作業が必要となる資料が多数ありました。なお図書のデジタル化では、主にスキャン後に保存作業をします。以前に紹介した「劣化資料保存用の箱」もそのひとつの例です。

CNAの手書き原稿やゲラには、オニオンスキン紙と呼ばれる非常に薄い紙が使用されているものも多くみられました。これらは長年の間に破れやしわが発生しており、スキャンが難しい状態です。また錆びたホッチキス・ピンがとめてあったり、複数の写真がくっついてしまったりしたものもありました。全ての資料の劣化状態を職員がスキャン前に確認し、スキャン過程で支障が出てくると思われる酷い折り目を伸ばす作業などを事前に行いました。

なお、事前補修作業が不可能な資料も一部あり、それらはできるだけ内容が判読できる形でスキャンしました。

下記のスライドショーはホッチキスと糊の取り外しです。

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出版物紹介:戦争と検閲 石川達三を読み直す [河原理子:岩波書店2015年]

Senso to kenetsu

本書は、石川達三(1905~1985)が1938年に執筆した小説『生きている兵隊』が新聞紙法*違反の容疑で起訴され、発禁処分となった事件に焦点を当て、事件の根幹となる新聞紙法と、それに基づく言論統制の実像を描き出した作品です。当時の裁判記録と新聞報道、そして石川自身の手記などの分析を通じて、起訴の経緯や石川がこの作品に託した思いなどが、詳細に論じられています。

戦後、新聞紙法が一時停止されたことにより、この作品は1945年末に無事出版されることとなりました。しかし、その一方で、1946年に執筆、出版予定だった『戦いの権化』は民間検閲局(CCD)の検閲のもとで発禁となり、占領下で日の目を見ることはありませんでした。プランゲ文庫には、この『戦いの権化』のゲラやCCD文書が残されており、これも本書の中で紹介されています。

米軍による戦前の検閲解除に喜んだのもつかの間、石川を含むこの時代の表現者たちは、言論統制が戦後の新しい検閲システムによって続けられることを悟り、その無念さは、作家高見順の言葉によって的確に表現されています。
『アメリカが我々に与えてくれた「言論の自由」は、アメリカに対しては通用しないということも分かった』(高見順「敗戦日記」、本書231ページ掲載)

*1909年5月施行、1945年9月停止、1949年5月廃止
この記事は岩波書店編集者の許可を得て掲載しています。

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ALA(アメリカ図書館学会)での発表

2015年6月25日から30日にかけてサンフランシスコで開かれたアメリカ図書館学会で、室長の巽由佳子とUCLA(カリフォルニア大学ロスアンジェルス校)の日本研究専門司書のバイアロック知子が共同で発表を行いました。タイトルは「ゴードンW.プランゲ文庫:太平洋を越えた資料、トランスナショナル研究」です。この発表では、2つの研究成果を取り上げ、プランゲ文庫の資料がトランスナショナル研究の発展にどのように貢献できるかについて紹介しました。発表資料は下記をご覧ください。

UCLA図書館は西海岸で唯一プランゲ文庫のマイクロ資料を所蔵している研究機関です。同校のUCLAテラサキ日本研究センター(The Terasaki Center for Japanese Studies)はUCLAにてプランゲ資料を利用する研究者に助成金を支給しています。プランゲ文庫はUCLAをはじめ、プランゲ文庫マイクロ資料を所蔵する他の米国の研究機関(ミシガン大学、ペンシルバニア大学、ハーバード大学、イェール大学)に最新の情報を提供し、更なる協力体制の強化を目指しています。

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Censored Newspaper Articlesのデジタル化: メタデータ作成

Censored Newspaper Articlesのデジタル化についてシリーズでお伝えします。初回は「メタデータ作成」についてです。

プランゲ文庫は18,047タイトルの新聞に加え、「検閲を受けた新聞記事」Censored Newspaper Articles (CNA)を約15,000記事所蔵しています。CNAは手書き原稿、ゲラ、検閲文書、電報などで成り立ちます。CNAのメタデータ作成作業は2013年3月から始め、デジタル化は2014年3月にスタート、そして2014年12月にプロジェクトは全て終了しました。CNAのデジタル画像及び簡易リストは、現在プランゲ文庫館内での閲覧限定となっております。

メタデータ作成においては、「新聞・通信社名」「記事発行予定日」「検閲日」「ヘッドライン」「検閲処分の種類」「検閲官名」「ページ数」など、様々な情報を採録しました。

CNAは主に「Foreign News」「Local News」に属し、1947年と1948年の資料が多数を占めます。(1945年・1946年・1949年も多少あり)「Local News」は日本国内の新聞・通信社が民間検閲局(CCD)に提出した記事と見られ、多くが日本語手書き原稿や日本語ゲラとなっています。

一方「Foreign News」は、主に海外の通信社(APやロイターなど)による英語電報と、その日本語翻訳ゲラなどです。ほとんどが英語資料ですが、韓国語・ロシア語・フランス語による電報も見られます。「Local News」と「Foregin News」以外には、九州地方を担当していた「District III」CCDオフィスの文書や、毎日新聞と読売新聞による「電光ニュース」もCNAに含まれています。各画像は「Local News」「Foreign News」「District III」「電光ニュース」のサンプルです。クリックで拡大します。

CNAについてのご質問は、prangebunko[at]umd.edu までご連絡ください。またFlickr ページにもCNAのサンプル画像を70枚載せておりますので、そちらもご参照ください。

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占領期関係コレクション紹介(アメリカ国内)

プランゲ文庫のあるワシントンD.C.郊外は、占領期研究に最も適した場所と言えるかもしれません。当文庫をはじめとし、第二次世界大戦後の日本研究にはかかせない様々な資料を保有する国立公文書記録管理局(National Archives and Records Administration (NARA))と米国議会図書館(Library of Congress)(日本関係資料についてはこちらをクリック)がこのワシントンD.C.郊外にまとまって位置しているからです。

しかし実は米国内他州の大学機関にも、占領期研究に役立つ資料群が存在しています。今回はその中でも5つの資料群を紹介します。この5つの資料群はデジタル化により、世界中どこからでも資料へのアクセスが可能となっています。

Pacific War Postcards Collection は、フィリピンなど南方諸島に居住していた日本人が日本国内の親戚などに向けておくったポストカード36点から成り立ちます。1945年8月19日から1946年3月10日までの日付が確認できます。

Gerald & Rella Warner Japan Slides は、ジェラルド・ワーナー(Gerald Warner)夫妻が寄贈した567枚のカラースライドです。ワーナー氏は占領期時には米国国務省に勤めていました。スライドの多くは1947年から1951年にかけて撮影されたもので、撮影場所は多岐にわたります。マッカーサー元帥や吉田茂氏といった政治的重要人物のスライドもありますが、当時の日本大衆の生活を映し出すスライド(お花見風景など)が多く含まれていることが、このコレクションの特徴と言えるでしょう。

人類学者のジョン・W・ベネット(John W. Bennett)氏は1948年から1951年にかけ、SCAPの民間情報教育局(Civil Information and Education Section – CIE)のPublic Opinion and Sociological Research Division (PO&SR)という部門に勤めていました。1949年にはPO&SRの責任者となりました。PO&SRの主な役割は当時の社会的改革の計画・実行・分析であり、それらは農地改革や地方自治体の発展など様々な分野にわたりました。

ベネット氏の残した文書などがオハイオ大学にて保管されています。ベネット氏の息子であるJohn M. Bennett氏がこの資料群を元に作成したデジタル・コレクション(“Doing Photography and Social Research in the Allied Occupation of Japan, 1948-1951: A Personal and Professional Memoir”)がオンラインで閲覧可能です。

オリバー・L・オースティン. Jr. (Oliver L. Austin Jr.)氏は1946年から1949年にかけ、SCAPのNatural Resources Section (NRS) 部門の責任者を務めました。この資料群は約1,000枚のカラースライドで成り立ち、上記で紹介したGerald & Rella Warner Japan Slides と同様に、当時の日本における暮らしを写しているものが多く見受けられます。

ウォルター・ペニノ(Lt. Col. Walter A. Pennino (1915-1998))氏は、マッカーサー元帥付のプレスとして来日しました。ペニノ氏はボストン・ディリー・グローブ(Boston Daily Globe)に日本における女性の地位に関する記事や、また1948年には東條英機の死刑に関する記録を執筆するなどしました。このPennino Collectionは、ペニノ氏自身が撮影した80枚の写真(撮影は1940年代と思われるが、正確な日付は不明)で成り立ち、「子ども」「エンターテインメント」「着物姿の女性」「復員兵」など10つの項目に分かれて整理されています。

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雑誌特集:鹿児島県で出版された雑誌

2015年3月より、約5,300点(約700タイトル)のプランゲ文庫所蔵雑誌が国立国会図書館のデジタルコレクションにて閲覧可能(館内閲覧限定)となりました。これらの雑誌を今後当ブログにてシリーズとして紹介していきます。シリーズ第一回目(京都府)第二回目(北海道)もあわせてご覧ください。

シリーズ第三回目の今回は、鹿児島県で発行された雑誌を紹介します。

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鹿児島童話会が発行した「どうわ」には、童話作家の寄稿が数点収録されています。

「町勢グラフ」は伊作町役場統計係が発行し、同町の人口統計などを詳しく掲載しています。外国籍の町民数なども含まれています。

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  • 同志 [1巻2号(1946年7月)] (Call No. D296)

同じく伊作町にて、伊作町革新同志會というグループが発行した雑誌、「同志」も当文庫は所有しています。「同志」は同町の政策や町民への連絡事項などを多数載せていますが、その一方で同地域の人々からの寄稿と見られる短歌や俳句なども扱っています。

BLOG_magazinesD296cd当文庫が所蔵する「同志」1巻2号(1946年7月)には山之内公威氏による「天皇制護持論」という記事が掲載されています。

この記事は、プレスコードに違反するとしてDisapprovedの検閲処分を受けたことが、民間検閲局(CCD)が残した文書から見て取れます(左の画像をクリックで拡大)

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  • 怒涛. 詩と論 [1巻1号(1948年4月)] (Call No. D318)
  • 映画研究 [1号(1948年8月)] (Call No. E40)

揖宿郡頴娃村で出版された詩の雑誌「怒涛」にも、当地の住民から寄せられた詩が多く掲載されています。「映画研究」は鹿兒島學生映畫連盟が1948年8月に創刊しました。

BLOG_magazinesE40cd「映画研究」創刊号と共にCCDに提出された文書を見ると、当雑誌の創刊に対する鹿兒島學生映畫連盟のメンバーの意気込みが伝わってくるようです。しかしもう一通の文書(提出日は不明)を見ると、経済的困難により2刊目が発行できず、発刊中止になってしまった旨をCCDに報告しています。(左の画像をクリックで拡大)

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木原博士、国際遺伝学会会議へ

今日紹介するCensored Newspaper Articlesは、1948年6月に民間検閲局(CCD)に提出された新聞記事です。

コムギの研究で知られた木原均博士(きはら ひとし, 1893 – 1986)は、1948年7月にスウェーデンのストックホルムで開催される第八回国際遺伝学会会議に招かれました。これを受け朝日新聞は5月27日、民間検閲局(CCD)に関連記事を提出しますが、これに対しCCDは一部Delete(削除)処分を下しています。日本語の棒ゲラを見ると、「日本の学者には金がないという悲しい定義ゆえに、」といった箇所などが削除、とされています。

6月8日、今度は共同通信、朝日新聞、毎日新聞が、 国際遺伝学会とアメリカ遺伝学会の援助により今回の会議に木原博士が出席できることになった、と報道しようとしますが、これらの記事は全てSuppress(発禁)処分となっています。発禁処分の理由はCCD文書では述べられていません。

その後毎日新聞は6月24日に「木原博士の旅賀」という記事を提出し、これはCCDの検閲を通過したようです。

朝日新聞の日本語棒ゲラ(5月27日)、共同通信の日本語手書き原稿ゲラ、朝日新聞及び毎日新聞の日本語棒ゲラ(6月8日)、毎日新聞の日本語棒ゲラ(6月24日)のデジタル画像は、当文庫館内にて閲覧いただけます。CCD文書に関しては、下記の画像をクリックで拡大し、更に個々の画像右下のview full sizeという文字をクリックすると更に拡大します。

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